迷子のポチ

落書きしちゃおう!

暗がりで石仏になったおばあちゃん

 

出産で実家に帰っていた頃のことです。

 

ひこ孫の子守りをするおばあちゃんの話です。

 

 

「この子はなにどしになるだいやあ?」

「ひつじだよ。」

「じゃあ、お父さん(当時60になった私の父)と一回りちがうだね?」

「いや、一回りってことないでしょ?」

「じゃあ、二回りかいやあ?」

 

(;・∀・) こんな調子のおばあちゃんです。

 

 

その日は、乳飲み子を置いて、

私は買い物に出かけようとしていました。

 

おばあ「どうどう、見ててやるから行っといで。」

わたし「大丈夫?」

おばあ「だいじょぶさあ。何人も育てただもの。」

 

お言葉に甘えて私は乳飲み子をおばあちゃんに預けて出かけました。

 

 

さて、夕方暗くなってから帰ると、

部屋は真っ暗です。

 

(?_?) どうした? どうした?

 

私は恐る恐るのぞきました。

 

 

すると、暗がりの中から、

息も絶え絶えにか細い声が・・・

 

 

「で、で、電気つけとくれや・・・」

 

 

私はあわてて電気をつけました。

 

 

そこにはスヤスヤ眠るひこ孫を抱いたまま、

石仏のように身動きせずに、

訴えるように私を見つめるおばあちゃんが・・・

 

 

おばあ「おら、こんな長い間、

    同じかっこうで動けないなんて初めてだ。」

 

わたし「おろして寝かせればいいじゃん?」

 

おばあ「それがなあ、泣いて泣いてどうしようもなかっただ。」

 

 

おばあ「乳首しゃぶらせても泣くし・・・」

 

 

わたし「え???おばあちゃんの?」

   (おばあちゃんもやるなあ~)

 

 

おばあ「なにバカせってる(言ってる)だあ!

    こんな乳でねえもんの乳首なんてしゃぶらせたって、

    冷たくてだめだに!」

 

 

わたし「だよね?だよね?」(どうやらおしゃぶりのことらしい。)

 

 

おばあ「それで、こしらえ乳やったけど、また泣くし・・・」

(※ こしらえ乳とは・・・ミルクのこと)

 

 

わたし「少しくらい泣かせておいても大丈夫だよ。」

 

 

おばあ「もーらしーだねー(かわいそうだ)おら、泣かしとけねーわ。」

 

 おばあ「それよか、早くこれなんとかしとくれや。

    おら、腕どうかなっちまいそうだ。」

 

 

 

いつまでも石仏のように、

口以外どこも動かさずに

ぼそぼそしゃべるおばあちゃんが、

私はもーらしくなって、

慌てて乳飲み子を抱き取ってやったのでした。

 

 

そのおばあちゃんは、今は天国。

 

石仏を見るたび思い出します。

 

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